夏恋サテライト
「…あと背?盛ってる?」
「ああそれは言わないで…棗の隣に立ったらあまりにもちんちくりんで親子どころかフィギアかなにかに見られそうだから…」
「ちっさすぎだろフィギアは」
今日のためにお小遣いをはたいて買った厚底のサンダル。
普段だったら選ばない華奢な白のそれは5cmヒール。
これを履いてもまだ15cm以上差があるけどせめてもの無駄な抵抗だった。
棗と並ぶとスタイルの悪さが際立つからこれくらいの悪あがきは許してくれ…
「まぁいいんじゃない、いつもより近い」
「んひっ!!」
ずいっと顔を近づけた棗。
いつもより顔と顔との距離が近くてつい1歩引いてしまう。
いつもだったら背伸びしてこれくらいの距離感なのに、今日は違う。
いつもより楽に棗の顔が見れてしまうのだ。