夏恋サテライト


「びびられたら傷つくんですけど」


「びびったんじゃなくてびっくりしたの。顔が良すぎて脳が思考停止しただけだよ」


「なんだそれ」




嘘じゃない

というか、だいぶ本当である。


この男は自分の顔の破壊力(誉め言葉)に気付いていないのだ。




いつもカッコイイのは大前提として

今日の棗はひと味もふた味も違う。




「くっ……かっこよ過ぎてずるい」


「そ」





白の大きめのTシャツにシルバーのネックレス、黒のスキニージーンズというシンプルなコーデなのに


背が高くてスタイルが良くて顔がイケメンすぎる棗が着たらどうだ。




モデル顔負け、というかもはやモデル。パリコレ。


しかも髪の毛もちょっとセットされちゃって、私の心臓を止めるつもりか。





「顔赤いけど」



「心臓止まりそう」



「じゃあ置いてくわ」

「えええやだやだやだ」





私が半泣きで引き止めれば、うそだよなんて笑ってデコピンしてくる棗。



ああ、気を抜いたら鼻血でそう…



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