夏恋サテライト

「なんで私いるのわかったの」


「靴見えた。朝自慢してたろ」


「覚えてたの」

「まーね」




今日のために買ったんだよと言ったら靴擦れしそうの一言で返された厚底サンダル。


ちゃんと覚えててくれるの、ずるいよね。




「棗あざとい」


「は?使い方間違えてんじゃないの」



「スーパー彼氏すぎて私もっと頑張る」

「なんの話だよ」





はっ、と笑う棗の横顔にふたたびHPを削られつつ心のカメラを連射。




そろそろ写真集が出せそう。


もちろん出したらとんでもない売上を記録して世界に飛鷹棗が見つかってしまうので出さないけど




私だけの笑顔なんだよこれ、たぶんだけどね





「なんのドヤ顔」



「棗は私のなんだぞ〜すごいだろ〜って」



「今日いつにも増して理解不能」




語ろうとした私を、映画始まるからなんて制してポップコーンを口に運ぶ棗。




映画どころの騒ぎじゃない。正直ずっと左見てたい。


きっと映画になんて集中できないよ――





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