夏恋サテライト


「……ううう、涙止まらないぃ」


「泣きすぎだろ」





前言撤回。誰ですか集中できないとか言ったの。




最初の5分は棗のせいで集中出来なかったけど、そこからは目が乾くくらい映画から目を離せなかった。


それどころか大感動すぎて映画が終わって20分たっても私の涙は滝のように止まらないのであった。





「俺が泣かせてると思われてる」


「なづめ…ティシュ」


「はぁ…もう使い切ったろ」




棗のポケットティッシュを涙で枯らしてしまったらしく、棗は呆れ笑いで羽織ってたシャツの袖で涙を拭ってくれた。



完璧彼氏降臨。


棗といればいるほどなんでこの人が自分を好きでいてくれてるのか疑問に思う。




それと同時に大事にしなきゃなって、私も頑張っていい彼女にならなきゃって思うんだ





「別に頑張らなくていい」


「…え?」




親指で私目尻の涙を拭い、なぜかそのまま手を離さない棗。


そして大きな手で頬をそっと撫でられる。




頑張らなくていいって、なんのこと…?




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