夏恋サテライト


「この2日間で棗の隣にいるのもう6回も見た」


「うわぁ、観察しすぎお前」


「転校してきて隣の席になったからってのもあるだろうけどね」




そう、彼女は転入生

といっても棗のクラスにきてまだ2日。



私たちほかのクラスの人間は顔はなんとなく分かっても名前は知らない。


ただひとつ流れてくる情報は、 “ なんか飛鷹棗と仲が良さそう ” 。




棗のクラスにいる私の友達はみな口を揃えてそういう。




そして挙句の果てに、奪われるんじゃない?だの咲鈴どんまいだの、不穏なことばっか言ってくるんだ。




「飛鷹くんが女の子と話してるの珍しいよね」


「元カノかなんかなんじゃないの」


「なっ…!!!!」


「こら恭ちゃんまたそんな意地悪言って!そんなわけないでしょ、転入生なんだし」




ここ2日タイミング悪く私が補習にお呼ばれしてしまって棗とは一緒に帰れていない。


お昼も美紗と食べてるし、朝は私が寝坊して一緒に来れず。


何が言いたいかと言うと棗とはろくに会話すらできていない。


これは……人生最大の危機では?




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