夏恋サテライト


「棗の隣の席…だからあんなに仲良く」





距離が近く見えたのも、一緒にいる機会が見えたのもそれかな。


来たばっかで分からないことがあっても友達作る前だったら隣の席の人に頼るよね


うんうん





「んー、つーかまぁ元カノだし」


「元カノかぁ。だからあんなに距離感が……」







ぴたっと、私の脳内の時が止まる。




「あれ、この噂はまだ流れてなかった?おーい戻っといでさりち」





唖然とする私、そんな私の顔の前で手を振る柏崎くん。


も、元カノ……モトカノ...motokano...


元カノって、あの元カノ?元彼女?誰が?誰の?





「元々地元の子だったんだよ。棗の中学の同級生で中3の時付き合ってたけど、高校入学と同時に親の都合で引っ越したんだって。で別れたみたいな」



「嘘だよね?」



「残念ながら全部ほんとだね」





柏崎くんの話でまたひとつ考えたくもない単語が頭にほわんと浮かび上がってきた。




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