夏恋サテライト
おまけに昨日のお昼のできごと。
授業が始まる直前にお手洗いに行って、手を洗っていた時
ふいに隣に彼女が現れた。
私の存在を知ってるか分からない。
…知ってるだろうけど、話すような仲とは到底思えないから気まずくなる前に立ち去ろうとしたのに。
「夏目咲鈴ちゃん」
「……え」
凛とした耳に残る声が私を呼んだ。
やっぱり知られていた。
睨まれたと思ったのも勘違いじゃなかった。
隣を向けば、笑顔の…目の奥は笑っていない夏川さんがいた。
「棗と最近話してないよね?私がいるから?」
「…はい?」
正直カチンときた。
誰のせい?
他でもない、あなたのせいじゃん。
「私と棗ね、お互い嫌いになったから別れたわけじゃないの。だからさ、棗のことその程度の好きなら私に返してよ」
頭が真っ白になった。