夏恋サテライト


棗を返せ?


あなたに?あなたのものじゃないのに?



どうしてあなたにそんなこと言われなくちゃいけないんだ。





全部全部、あなたのせいなのに…





ムカついてついつい言い返したくなる気持ちを抑えて下唇を噛めば、夏川さんは勝ち誇ったような笑顔を見せて立ち去った。



何も言い返せなかった。


ムキになって何かを言い返してしまえば負けてしまうような気がしたんだ。




「大丈夫、咲鈴は捨てられてなんかないよ」


「ううう美紗〜!天使、女神、聖母〜」


「今日はやっと一緒に帰れるんでしょ?元気だしな。そんな不細工な顔してたらダメでしょ」




ブサイクって言われたのはまあ置いといて、私は項垂れるのをやめる。



そろそろ棗が迎えに来る


私の教室に自分から来ることなんかいままでなかった棗がだ。




棗だってきっと寂しいって思って…





「…早くして」

「う、ん…?」




ええ、機嫌悪くない…?というかなんか怒ってます?



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