夏恋サテライト
「…夏川芽心、転入生。あいつに付きまとわれてたけど拒まなかったのは俺だから」
「なんで…っ」
「柏崎から聞いてると思うけど…あいつと中学一緒で当時付き合ってた。」
「…っ」
知ってたのに、わかってたのに
棗の口から直接聞くとやっぱりダメージは大きくて抱えきれなくて、もう棗の顔すら見れなくなってしまう
俯いて涙を零すだけで、止めようにも止められない。
「中3の時、あいつ…夏川がクラスに転校してきて。クールで誰にも媚びなくて、クラスに馴染めてなくても興味なさそうな感じが気になった。
容姿が優れてるせいで初日から囲まれて、でも突っぱねて自ら孤立して。
中学生の俺はそれが出来なかったから夏川がかっこよく見えた」
人に興味が湧いたのは初めてだった。
棗のその言葉が再び自分に重くのしかかる。
夏川さん、境遇も性格も棗に似てるんだって
似たもの同士だから惹かれあってしまったんだって先の話を聞かなくてもわかってしまう。
正直ここから先は聞かずに逃げ出したかった