夏恋サテライト
「……送る」
「……いらない。時間ないんでしょ」
言い方が最低だ。
こんなに冷たい言葉、棗にぶつけたくない。
棗には私のいい所だけ知ってい欲しい
なんて思うのはもう今更かもしれないけど、せめて棗にとってはいい彼女でありたい。ありたかった。
いい彼女でいないと夏川さんに奪われてしまう。そう思ってたくせに
こんなめんどくさい彼女、最悪だよ
「ちょっと、距離置きたいかも…」
「……は」
棗の家を出る目前、玄関ドアに手をかけてそう言った。
こんなこと、まさか私から言うことになるなんて思わなかった。
別れる時は棗にフラれるかどっちかが死ぬかしかないと思ってた。
やっぱり恋愛って、難しいんだ。そんな簡単にはいかないんだな。