夏恋サテライト
「私ね…この期間の間いろいろ考えたの。考えすぎて眠れなくなったり、悲しいこととか嫌な未来を想像して食欲がなくなったりして」
「…うん」
「でも……距離置いてみてわかった。私やっぱり棗がいないとダメみたいなんだよね」
へらっと笑って言えば、なぜか自分が恥ずかしくなって目を泳がす。
重いかな。重いよね。
でも私の愛が異様に重いのは棗をはじめみんなが知ってる事だと思う。
私が1番鈍かったというか
自分が想像している何倍も、棗に依存していたらしい。
毎日棗に会うのが当たり前で、素っ気なくても冷たくあしらわれても私はその時間も好きだった
元カノがどうのこうのなんて関係なく、私は私らしく棗への愛を貫けばよかったんだ。
「…俺もだけど」
「はぇ?」
棗の黒目が私を捉えた。
遠慮がちに揺れたその瞳は覚悟を決めたかのように私に焦点がピタリとあって。
その瞬間、視線を外せなくなって捕らえられたのだ。