夏恋サテライト

「はじめまして、咲鈴さんとお付き合いさせていただいてる飛鷹棗と申します。咲鈴さんが合宿先で体調を崩したので迎えに行きました」




「お付き合い…!?」

「棗!?」





お兄ちゃんを相手に自己紹介して軽く頭を下げる棗。


私もお兄ちゃんも唖然。


まさか棗が自ら口にするなんて。




「咲鈴……」




棗のことに関して問いただされると思ってぎゅっと目を瞑る。


正直気まずいし、何も聞かないで欲しい…




「お兄ちゃん…えっと」
「体調悪いのか!?大丈夫なのか!?なんで俺に連絡しなかったんだよ車で迎えに行ったのに」





思ってもなかったお兄ちゃんの言葉にびっくりして石化する。




棗のことではなく1番に私の心配をしてくれている。


さっきまでの焦りはどこへやら、今度は私の顔を見て心配そうに眉根を寄せるんだ。




「お兄ちゃん…連絡しなくてごめんね。私はもう大丈夫この通り元気だから」



「良かった……棗くんって言ったっけ。咲鈴のこと迎えに行ってくれてありがとう。咲鈴のことよろしくな」



「……はい」


「お兄ちゃん…」





私がテレビに映る俳優をカッコイイというだけで半泣きになるお兄ちゃんが、咲鈴のことよろしくって言った…?



てっきりどこの馬の骨だ帰れ!くらい言うと思っていた私は色々な意味で唖然。




怒ることも泣くことも無く棗を上から下まで舐めるように見定めている。


ちょっとそれもやめて欲しいけど…




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