夏恋サテライト

「中村と何話してたの」



「大した話じゃないよ?ただこれからも仲良くしようねって」



「は?」

「え?」





ぐっと眉間にシワがよったかと思えばいつもの通りマリアナ海溝レベルの深いため息をひとつ。


私今なんか変なこと言ったっけ……





「今まで通りあいつと仲良くされたら困るんだけど」



「……やきもち?」



「だったら何?」

「……っぬぅ!」



「なんだその声」





棗は最近私への愛情表現が増えた気がする。



毎日愛を囁かれている訳では無いけど、0だった物が急に1になるだけでだいぶ変わるもので、私は心臓発作を起こさないだけで精一杯なのだ。




柏崎くん曰く棗はこの間の件で柏崎くんに、口数が足りないだのもっと愛情表現しないと奪われるとくどくど脅されたことを気にしているらしい。





「ニヤニヤすんな」



「えへへ〜ヤキモチ妬きの飛鷹くんだね」



「アイツと同じこと言うなあの顔がよぎる」





チッと仕打ちをしてバツが悪そうに目をそらす棗。



ヤキモチ妬きは否定しないところにまたキュンとしてしまう。




つい数ヶ月前まで棗を一方的に追いかけ回していたのが嘘のようだ。



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