夏恋サテライト
「……寂しいって言われたの久しぶりなんだけど、寂しかったの?」
「だって棗の負担になりたくなくて、重い女になりたくなくて行かないでって言えなかった」
「ふっ、何心配してんの。俺が居なくなっても平気なのかと思ってた」
「そんなわけがっ!!!棗なしじゃ生きていけない」
滲んだ視界で棗を見つめるとその目は優しく笑った。
まるで愛しいものを見るかのように。
「舞川サンもいるし、あいつ……中村もいるから」
「あの二人と棗は別物。別枠。私が棗依存症だったの忘れたの?」
「その割に全然電話してこなくなったし会いたいって言わないじゃん」
「だからそれは棗の負担に…っ」
「なるわけないだろ」
眉根を寄せる棗はちょっと怒ってる。
私も私で頑固だからそんな棗をじっと睨む。
私は棗の負担になりたくなった。
だってめんどくさいって思われたら直ぐに振られちゃう気がしてしまったから。
バイトの先輩に遠距離恋愛は上手くいかないよっていわれたから。
棗と別れるなんて絶対嫌で、その可能性が1ミリでも減るなら多少の我慢は必要なんだって思ったんだ。