夏恋サテライト

「……すれば?できるもんなら」


「うわあぁ」




顔見たさに少しだけ近づいた瞬間ぱっちりと目が開いた。


視線がかち合って私はびっくりしてのけぞる。




「…あぶな」




寝起きのくせに転びかけた私の腕を引いて助けてくれるのが王子様だ。



そのまま引き寄せて来るあたり棗はずるい。あざとい。




「棗寝ぼけてる」



「どこが。なんかお前顔赤」
「くない!!走ってきたから暑いだけ!!」




食い気味に否定すれば棗はどんなだけ俺に会いたかったの、なんて鼻で笑った。



そうだよ会いたかったんだよ急いできたのは嘘じゃないよ。

急遽恭ちゃんとお昼食べたから会えなくてちょっと寂しかったんだよ。



そんなこと重いと思われそうで言えないけど。





「昼一緒にいた男」


「恭ちゃん?隣の席の中村恭平」



「知ってる」

「え?」




知ってるのになぜ聞いてきたんだろう。




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