夏恋サテライト
「…変なとこ抜けてんのうざいな」
「え、急に悪口?わっ」
「お仕置き」
急にうざいなんて言われてびっくりしてたら髪の毛をぐちゃぐちゃにかき乱された。
せっかく来る前にクシでとかしてきたのをきっと棗は気づいていない。
「あれ、てか棗いつ私と恭ちゃんが一緒にご飯食べてたの見たの?エスパー?」
「自販行きたくて空き教室の前通っただけ」
「そっか…」
私と恭ちゃんがいた空き教室は1個上の階。
自販機はこのフロアにだってある。
もしかして棗……私を探してくれたの、なんて淡い期待を抱いてしまう。
「何、その顔」
「…ううん」
思い出した。棗の好きなペットボトルのカフェオレは1個上の階の自販機にしかないんだった。
「柏崎は?」
「バイトだって」
「てかお前今日月曜日だけど」
「美紗試合近いから部活なんだって。一緒に帰ろ棗」
持ってきた棗のカバンの紐をぎゅっと握る。