夏恋サテライト

あぶない、期待しかけてしまった。



棗が私の事探してくれるなんてありえないのに。



だってこの人は超低燃費マン。私がつきまとってるだけ。


私が探すことはあっても棗が私を探すことなんてきっとない。




「なに、今日元気なくない」


「…棗こそ、機嫌悪いんじゃなかったの」


「柏崎のクソから聞いた情報信じんな。もう直った」


「えぇ、やっぱ悪かったんじゃん」




棗は1度伸びをした後ベッドから降りて靴を履いた。




さっきまで目線が下だったのに急に上に上がるもんだからついつい見惚れてしまう。


無駄にかっこいいんだから、ほんとに。




顔だけが好きなわけじゃないよ、もちろん。


でも棗の不意に見せる表情全部、私の心臓に悪い。




「なんかついてる?」


「超綺麗な目の鼻と口」


「うるさ」




とか言って、しれっと自分のだけじゃなくて私のカバンまでかっさらって持ってくれるとこ。


ずるいよ、棗。




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