夏恋サテライト
「…変なとこ抜けてんのうざいな」
「え、急に悪口?わっ」
「お仕置き」
口を開けたままであほ面の咲鈴の髪をわしゃわしゃ撫で回す
いつもしばってる髪を下ろしてるのはあいつと飯を食ったからか。
そう思うとそのサラサラのストレートをくしゃくしゃにしたくなった。
いつもこいつにどうこう言うくせに、大概俺も重症だ。
「あれ、てか棗いつ私と恭ちゃんが一緒にご飯食べてたの見たの?エスパー?」
「自販行きたくて空き教室の前通っただけ」
「そっか…」
わざわざ見に行きました、なんて言ってもこいつはたぶん信じない。
底なしのバカだから。
私を探してくれたの、くらいポジティブに考えてくれれば楽なのにな。
「何、その顔」
「…ううん」
俺にあいつと2人で飯食ってたのバレたくなかったのか、咲鈴は視線を落とした。
だめだ、あの男の顔がよぎってイライラする。