夏恋サテライト
「柏崎は?」
「バイトだって」
「そ。…てかお前今日月曜日だけど」
「美紗試合近いから部活なんだって。一緒に帰ろ棗」
よく見たら手には2人分のカバン。
片方は大して何も入っていない俺のものだった。
俯いたままの視線は交わらない。
俺にはこいつの考えてる事はいつだって分からない。
「なに、今日元気なくない」
「…棗こそ、機嫌悪いんじゃなかったの」
「柏崎のクソから聞いた情報信じんな。もう直った」
「えぇ、やっぱ悪かったんじゃん」
変な棗、なんて言って笑う顔を見たらわりとどうでもよくなった。
こいつは無駄に可愛い。
黙ってれば可愛い “ 残念系美少女 ” なんて言われてるらしいけど黙ってるより笑ってる方が可愛いだろ。
まあそもそも俺の周りをウロウロしてるおかげで俺自身がいい男避けになってるらしいけど。