夏恋サテライト


「なんかついてる?」


「超綺麗な目の鼻と口」

「うるさ」




人の顔じっと見つめてきたと思えばすぐふざけたことを言う。


さっきまでぼーっとしてたくせにもう気がかわったのか。




「帰んぞ」




ベッドを降りてカバンを2つ奪って歩き出せばぱたぱたと雛鳥のようについてくる。


私が持つだの、むしろ持ちたいだの意味のわからない発言を無視して結局こいつの家の前までカバンは返してやらなかった。




「家まで来てくれてありがとね」


「こっからなら歩いて帰れる」


「ふふ、ありがとうツンデレ大魔王!」


「はぁ?…じゃあな」


「また明日ねー!」




夕陽をバッグに玄関先からぶんぶん手を振られる。




いいからさっさと中入れ、なんて言ってもきっと聞かないからもう放置。


どうせ、また明日すぐ会える。




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