夏恋サテライト
【咲鈴side】

――


「ううううううう゛……」


「わめかないの。そんなんじゃ学校なんて行けるわけないじゃん」


「やだやだ、絶対いくもう治ったもん」


「バカ言うな、早く寝な。俺もう家出るから」




私が食べ終えたお粥の食器を持って部屋を出ていく兄。



辛辣だ。実に辛辣だ。

熱が出てようが頭が痛かろうが私は学校に行きたいのに。


1日棗に会えないなんて考えられない。




「ううう」




鉛のように重たい体を何とか動かしベッドサイドのスマホに手を伸ばす。

が、私の気持ちも届かず力の入らなかった指からするりと抜け落ちた。




限界。

夏目咲鈴、中学からずっと続いていた皆勤賞を虚しくも剥奪され…




やっぱりやだな。うん。絶対。

学校行かなきゃ。皆勤賞とらなきゃ。




謎の動力が私の体を軽くした。


クローゼットにかかった制服に腕を通し、さっき落としたスマホを拾う。



そしてまだホームルームに間に合うことを確認して家を飛び出した。




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