夏恋サテライト

「ふふふ」


「何、怖いんだけど」


「今日もかっこいいねぇ、なつめ」

「まだボケてんのか、寝ろ」




何か食べたいものはないかと聞かれなんでもいいと応えると棗は私用の着替えの上下を置いて出ていった。



お買い物に行ってくれるんだって。

だからその間に着替えとけ制服がシワになる、だそうだ。



もうきっと手遅れだけど、棗の服着たさに言うことに従う。


我ながら気持ち悪いけど熱のせいにしてほしい。




「ううう…」




頭が痛くて体もだるくて、ベッドに丸くなる。



このベッド、棗の香りがして抱きしめられてるみたいで落ち着くなぁ。

残念ながら棗に抱きしめられたことなんか一度もないんだけど


気分だけでも、味あわせてね。




ブーッ、ブーッ…



「んむ…もしめし」

『おい咲鈴どこいった!!』



「うるさぁい…」




名前も確認しないで電話に出ればキーンと頭に響く怒鳴り声。

兄である。




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