夏恋サテライト
――――


「んん…あれ」




次に目を覚ました頃には部屋も、外も真っ暗。



そして周りには人の気配もなければ、ベッドも棗の匂いがしない。




もしや…


「全部夢…?」




なんて虚しいんだ、そんなわけないでしょうと言ってください神様。



そんな気持ちで部屋の電気をつけると、やっぱり私の部屋。

でも…




「棗の服、柏崎くんの髪ゴム…」




なんだ、全部が全部夢だったわけじゃないじゃんって。


安心して服の袖をぎゅっと握った。




「あ、棗」


スマホを開けば大好きな人からのメッセージ。


いつもだったらありえない棗からのメッセージに心躍る。




[男の家にいたら厄介なことになるだろうから兄貴夫婦に車でおくらせた。早く寝ろよ]





そんな一見不愛想なメッセージに胸がキュンキュン高鳴る私はだいぶ重症。自覚あるよ。




棗に看病してもらえて、服借りれて、メッセージもらえて。



え、もしかして熱っていいことしかないのでは…?




なんて思った瞬間に咳が止まらなくなったから前言撤回。



早く棗に会いたいな。

明日朝会ったら、いっぱい感謝を伝えよう。




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