夏恋サテライト


「購買のおばさんがお前が来ないから心配してたぞ」



「えー!でも私はだめなのです食べられないのです」





メロンパンを棗の机に返却するとギロッと睨まれた。


やだこわい。




「食え」



「やだよ!メロンパンってカロリー高いんだもん」

「お前にまたぶっ倒れられても困んだよ」



「うっ…」




道で力尽きて棗にお世話させたのはついこのあいだ。


たしかにまたやらかしたら今度こそ見過ごされそう。





「チアなんか希望者なんだからやんなくたっていいだろ」



「えぇ、だってチア服可愛いし…棗誘惑作戦だし…」



「その作戦を本人の前で言ってる時点で論外」

「たしかに」





そもそも棗がチア服着たくらいでころっと落ちる男じゃないことは重々承知してる。


だって今まで散々誘惑して口説いてきたのに全部無駄だったんだもの。





でもそこで諦めない女、夏目咲鈴。


諦めの悪い女グランプリがあったらきっと受賞してる。




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