夏恋サテライト

「棗不足でしにそう…」



「何言ってんの咲鈴、まだ午前中だよ?」



「いつも朝イチ会ってるし喋ってるもん」





午前のプログラムが4つくらい終わりかけてる頃、同じ赤団のはずなのに隣のクラスの席に棗の姿はない。



どうせ暑いだのだるいだの言ってどこかで休んでるんだろうけど…


棗を探しに行こうにも、恭ちゃんが引き止めてきて抜け出せない。



『観戦は自席で。抜け出してサボるの禁止』

だそうだ。



高校生にもなって徒競走なんて白熱して見てられないよ…!




「咲鈴、今なら恭ちゃんいないよ」


「えっ」


「まあ私は恭ちゃんの味方でもあるけど、その前に咲鈴の親友だからね~」




行っといで、と背中を押される。




「天使…!!」



にこりと笑う美紗に後光が差して天使の羽が見える。




普段むさ苦しい男部活のオアシスをやってるだけある、さすが私の親友。




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