夏恋サテライト

美紗に背中を押されたまま私は棗がいそうな場所を片っ端から探した。


校舎は鍵がかかってて入れないし、棗が太陽の元にいるとは思えない。となると…




「あ、さりち!」

「救世主!!柏崎くん~!!」




なんとびっくり、今1番求めていた柏崎くんと鉢合わせたのだ。



神様まで私の背中を押してくれてる気がする。




「キョーチャンに捕まってなかった?ずっと」



「そう!棗のとこ行きたかったのに動くなって止められて…って棗は!?どこ?」



「さりちが他の男と、しかもキョーチャンと一緒にいるから不貞腐れて不機嫌大魔王モード。行ってやって」




俺はもうこりごり、なんて言って柏崎くんはグラウンドの方へ戻って行った。


棗ならこの先の裏庭で寝てるよ、と特大ヒントを残して。




「発見…!」




ベンチに寝転ぶ大きな体。


袖まくりをしたジャージから伸びる日焼け知らずの白い腕。




「棗!」

「…」




勢いよく駆け寄って名前を呼べば、眠ったままピクリと眉毛だけ反応した。



起こしちゃった…?




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