夏恋サテライト
席を立った棗のぬくもりを感じに棗の椅子に座って机にうなだれる。
いつものことながら、棗がいなくなった椅子はあたたかくない。
冷たいのは態度だけじゃなくて体温もですかって…
「ほらぁ、落ち込まない落ち込まない。甘いものでも」
「ありがとうなかなかやるじゃん柏崎くん…って、タケノコじゃん。私キノコ派」
「あ、まじ?俺どっちでもいい派。でもこれそもそも棗のだし」
「え…」
「そう俺の」
柏崎くんから私に渡ろうとしていたタケノコは空中で大きな手にかっさらわれた。
そう、棗である。
「戻ってくんの早いね王子様」
「この教室便所の横だろ」
「王子様はトイレのこと便所とか言わないよ棗」
「王子じゃねえし」
棗は私をどけるのも面倒くさくなったのか隣の椅子に腰掛けてタケノコを開封して食べ始めた。
ぐぬぬ…席の持ち主ずるい。私も自分の席棗に座られたい。
…あでも棗の隣の席柏崎くんだっけか。
ならやっぱり許そう。