夏恋サテライト
急に棗からの愛を直に受けたようで鼓動が跳ねる。
そして頭まで回らなくなってしまいそうだった。
棗があつ過ぎてのぼせそうだ。
「…なに、その顔」
「いひゃい」
頬をつまむ棗につられて、反抗しようと顔を上げる。
「……え?」
「こっち見んな、バカ」
そこには顔を赤らめて私の目を手で覆う棗がいた。
少ししか見えなかったけど、たしかに顔が赤かった。
一瞬見ただけで分かるくらいには、棗が赤面している。
「…っ、やだみたい!棗照れてる?」
「は?動くなマジで」
「いーやーだ」
「は?その口塞ぐぞ」
「え?なにそれ、ただのご褒美じゃん」
「…バカ」
複雑そうに顔をゆがめる棗。
ポーカーフェイスな棗のこんな歪んだ顔を見られるの、絶対に私だけだ。
それだけで、幸せだなって思えちゃうんだ。