夏恋サテライト


急に棗からの愛を直に受けたようで鼓動が跳ねる。


そして頭まで回らなくなってしまいそうだった。


棗があつ過ぎてのぼせそうだ。




「…なに、その顔」


「いひゃい」




頬をつまむ棗につられて、反抗しようと顔を上げる。




「……え?」


「こっち見んな、バカ」





そこには顔を赤らめて私の目を手で覆う棗がいた。




少ししか見えなかったけど、たしかに顔が赤かった。


一瞬見ただけで分かるくらいには、棗が赤面している。




「…っ、やだみたい!棗照れてる?」


「は?動くなマジで」


「いーやーだ」


「は?その口塞ぐぞ」


「え?なにそれ、ただのご褒美じゃん」


「…バカ」




複雑そうに顔をゆがめる棗。



ポーカーフェイスな棗のこんな歪んだ顔を見られるの、絶対に私だけだ。




それだけで、幸せだなって思えちゃうんだ。




< 92 / 201 >

この作品をシェア

pagetop