夏恋サテライト
「…っ、だめだよ棗カッコよすぎる!顔隠して!マスクして!」
「へえ、ご褒美あげれなくなるけどいいの?」
「…それはやだ」
棗とのキスは幸福感を爆増させてくれるもの。
その名の通りご褒美だし、なくなったらきっと私は寂しくなる。
「ワガママ」
「…でもそんなところも好き?」
「だるいぞ絡み方」
「当たり前だろ愛してるよ咲鈴って言うところだよ」
「誰だよそれ」
靴を履くために一度手を離すと、また当たり前みたいに手を差出してくれる。
そしてその手を握って隣を歩く。
付き合う前は手を繋ぐどころか、いつも棗の方が歩くのが早くてついて行くのに必死だったのに。
本当に棗の彼女になれたんだなって、胸がジーンとした。
「幸せ……」
「心の声漏れてるけど」
「えへへへえへ」
「笑い方だいぶキモイ」
「愛しの彼女にキモいって言う!?」
「自分で愛しのって言うな」
「事実でしょ?」
そういえば、棗は黙る。
ほーれ、否定しないんだ棗ってば
やっぱり私のことが好きなんですね?