夏恋サテライト


「じゃあ棗はどこがいいの?」


「…どこでもいい」


「家がダメならどこでもよくないじゃん」


「……それとこれとは別だろ」





よく分からない。何を言ってるんだか。

どこでもいいけど家はダメなんて矛盾してるじゃないですか。




どうして家はダメなのか、私に見られたくないものでもあるのか。



でも私の家もダメなら、単純に家という空間が嫌なの?

もしかして2人きりになるのが嫌とか?


え、やだよ泣くよ?泣いちゃうよ?




「さりち、なんか勘違いしてない?」


「はえ?」





ずっと黙っていたから存在を忘れかけていたけど一緒にご飯を食べていた柏崎くんが口を開いた。




「棗くんにもジジョウがあるんですよ、男の子なので」


「柏崎、余計なこと言うな」


「はは、だっせ。もうそんな余裕ないんだ。さっさと手出しちゃえば」

「コロス」





2人がなんの話をしてるのか分からないけど、これで話は振り出しに戻ってしまった。



デートはもう明日に迫ってて、もうお昼休みも終わりかけ。


今日は美紗と帰る日だから放課後も一緒に帰れないし、棗はLIMEの返信が亀よりナメクジより遅いからもう決めなきゃなのに。




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