夏恋サテライト

「棗は言葉が足りないんだよ、さりちを不安にさせてるの気づいてない?」


「うるさい、分かってる」


「はー不器用だねぇ。初恋じゃあるまいし」


「余計なこと言うな」





初恋じゃあるまいし…


ですよね。




聞いたこともなかったけど、耳をふさぎたくなるけども棗にも過去はあるわけで


きっと可愛い彼女がいたんだろうなぁ。


そう思うと見たこともないその子に嫉妬して胸がはちきれそうになる。





その子ともデートくらいしてただろう。



いったいどこに行ってたんですか。


どこなら喜んで付き合ってくれるんですか。





「さりちはどこ行きたいの?」


「うーん…棗が嫌じゃなければどこでも」


「はいその回答ゼロ点。さりちは棗に気使いすぎ。」


「ええ」





棗に気遣いすぎ、なんて初めて言われた。


そんな自覚全くなかったかもしれない





付き合ってるんだから、棗が行きたくないとこに無理やり行かせるのは違うかなって思ってたんだけど…




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