パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました

私だって、会社に行くのは怖い。

「でも、あんな脅しに屈するのは嫌なんです。
二次も最終も通って私の案が採用され、絶対に認められたい……!」

勢いよく振り返ったら、駒木さんと目があった。
じっと私を見つめる、レンズの奥の目は、怒っているのか心配しているのか、わからない。

「……わかったよ」

我が儘を言われて困ったように頭を掻きながら、彼がはぁーっとため息を落とす。

「それにそういう花夜乃さん、格好よくてまた惚れちゃいそうだ」

首を傾げてちょっと情けなく笑い、駒木さんはおいでと私を手招いた。
ソファーまで来て座るので、私も隣に腰を下ろす。

「前に渡した防犯ブザー、あれは絶対持っててね」

「はい」

でも、あのときは怖くて身体が動かなくて、ブザーすら使えなかった。
また襲われたとき、役に立つんだろうか。

「あと、これ」

駒木さんが出したのは、コイントップのペンダントだった。
彼の手が背後に回り、離れたときには胸もとにコインが落ちてくる。

「コインの部分を押すと、大きな音が出るようになってる。
といっても、防犯ブザーよりはかなり小さいんだけど。
防犯ブザーもない、もしものときはこれを使って」

いわゆるこれも、防犯ブザーなんだろうか。
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