パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
しかし、コインが少し厚い以外はわからない。

「それからこれも」

今度は私の左手を取り、嵌めてあった腕時計を外して新たな腕時計を彼は嵌めた。

「スマートウォッチ」

自分の手首を動かし、それを確認する。
ピンクゴールドの盤面にアイボリーの革ベルトのそれは一見、アナログ時計にしか見えない。

「普通に使ってもらってかまわないよ。
ただ、花夜乃さんの心拍やストレス値の異常を感知したら、僕に通知が来るようになってる」

「へー」

スマートウォッチってちょっと興味あったから、嬉しいかも。
……でもちょっと待って。
駒木さんに通知が行くって、四六時中彼に監視されているってことですか?

「えっと……」

「通知っていっても、異常があったときだけだよ。
それ以外は僕にはわからない。
だから、安心していいよ」

私の戸惑いに気づいたのか彼が笑って説明してくれるが……まあ、信じておこう。

「それにしてもこんなもの、どうしたんですか?」

これらはたぶん、一般流通していない代物だ。
そんなものが手に入るなんて。

「兄さんの会社の開発試作品、融通してもらったんだ。
もう東本くんから聞いてるんだろ、K'bの社長が僕の兄だって」

「はい」

へー、あの会社ってこんなものも作っているんだ。
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