パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
この、ペンダント型の防犯ブザーとか一般商品化されたら需要が高そうだ。

そうこうしているうちに東本くんが迎えに来た。

「毎日、東本くんが迎えに来るんですか?」

前に泊まったときもそうだった。
でも、昨日一昨日と駒木さんが運転していたのはこの車だし、どうなんだろう。

「ああ。
東本くんはここから徒歩二十分くらいのところに住んでるんだ。
だからうちに寄って、一緒に通勤してるの」

「そうなんだ」

経費削減……?
まさか、ね。

今日は時間があるらしく、近くのカフェでモーニングを食べる。

「篠永、会社に行くって本気かよ?」

「本気だよ。
あんな脅しに屈するなんて、嫌だもん」

東本くんにも駒木さんと同じ心配をされて、苦笑いしかできない。

「そういう負けず嫌いなとこ、昔のままだな」

懐かしそうに東本くんが笑う。

「試合で負けて帰ってきたら、気合いが足りなかったんだって時間も忘れて素振りして。
それで次の日、熱を出してさ」

「……それは言わないお約束だよ」

少しでも身体が強くなればと始めた剣道だが、頑張りすぎて熱を出していたのも、今となってはよき思い出だ。

「……あのさ」

超不機嫌そうな声が聞こえてきて、東本くんの身体がびくんと大きく震える。

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