パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「僕の知らない花夜乃さんの話をするの、やめてもらえるかな?
花夜乃さんは僕のものなんだからな」

すーっと目を伏せた駒木さんの視線は、凍るように冷たい。
さらに彼は、証明するかのように隣に座る私の腰を抱き寄せた。

「あー、スミマセン……」

ぎこちなく謝った東本くんの視線は、テーブルの上を彷徨っていた。

「それで試合って、花夜乃さんはなにか部活をやっていたのかい?」

一瞬前とは違い、駒木さんがにこやかに私に話しかけてくる。
その豹変ぶりには驚くばかりだ。

「あー、剣道を……」

「奇遇だね!
僕も剣道をやってるんだ!」

嬉しそうに駒木さんは私の手を掴んできたが、……それはそうでは?
剣道って警察では必修っぽいもん。
あ、でも、管理職になると違うのかな?

「今度、手合わせをお願いしようかな?」

「あー、えっとー、高校を卒業してからやってないので……」

眼鏡の奥からキラキラした目で見つめられ、だらだらと汗を流しながらつい目を逸らしてしまう。
だって、圧が凄いんだもの!

「……手合わせって有段者の駒木警視と篠永じゃ、試合にならないでしょうが」

「東本くん、なんか言ったかなー?」

駒木さんは笑顔だったが、完全に怒っている。
しかし東本くんは果敢にも、彼に向かってきた。
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