パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
落ち着かないせいで仕事の進みは悪く、終わったのは八時を回っていた。

「これからプレゼン資料作りたいとか言ったら、怒られそう……」

とりあえず、駒木さんに連絡を入れてみる。

『花夜乃さん!?
大丈夫!?』

ワンコールもしないうちに駒木さんが出た。
しかも凄い、心配されている。

「今のところ平気です。
それで、あと一時間くらい残業したいんですが、いいですか?」

『ダメ!
ダメだよ、絶対!
時間が遅くなったら人が少なくなって、それだけ危険が増すんだからね!』

かぶせ気味に反対されたが、それはそうだよね。
私だって、わかっている。

「でも、コンペのプレゼン用資料を作りたくて……」

『そんなの、家でやればいいだろ。
僕も手伝うし』

速攻でさらに、反対された。
私だって家でできるなら、そうしたい。
でも、できない事情があるのだ。

「ちょっとあって、会社でしかプレゼン資料作れないんですよ」

こういうとき、疑われて変な制約をつけられたのが非常に痛い。
しかも、その原因があの犯人かもしれないと思うと、腹立たしくなった。

電話の向こうでため息の音がしたあと、駒木さんの声が聞こえてきた。
< 108 / 219 >

この作品をシェア

pagetop