パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「中にいる人に危険が迫っているっていくら言っても、入れられないの一点張りだしさ。
警察だって手帳を見せた」

駒木さんは得意げだけれど。

「それって職権乱用では……?」

いいのか、そんなに簡単に警察手帳を出して。

「実際に花夜乃さんに危険が迫っていたんだから、問題ないよ。
せめて警備会社が、K'bだったらよかったんだけど」

しれっと言ってスプーンを駒木さんは口に運んでいる。
それはそうなんだけれど、本当によかったの……?
ちなみにうちの会社に入っている警備会社は、国内ではK'bと一、二位を争う別の会社だ。

「個人的に警備員を雇って花夜乃さんをガードできたらいいんだけど、そんなことしたら会社の中で目立っちゃうもんね。
ちょっと考えるよ」

「お手数おかけします」

私のせいで駒木さんに余計な手間をかけて、申し訳ない。

「いいんだよ、花夜乃さんのためだったらなんだってするって言っただろ」

彼の人差し指が、私の鼻をぷにぷにと押す。

「駒木さん?」

「キスしたいけど、好きでもない男からされても嫌だろうから、これで我慢」

くすくすと笑いながら、また彼が私の鼻を押す。

「ちょっ、やめてくださいよ!」

それから笑って逃げなら、彼とならキスしてもいいかも、などと思っていた。
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