パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
その後も駒木さんは私をかまい続け。

「花夜乃さん、コーヒーどうぞ」

「あ、ありがとう、ございます」

カップを差し出され、主を見上げて受け取る。

「でも、自分で淹れるので、気遣いはけっこうです」

余計なお世話だと、持ってきた人――駒木さんを睨みつけた。

「僕の分を淹れたついでだから、気にしなくていいよ」

しかし効いていないらしく、駒木さんは涼しい顔をして自分のコーヒーを飲んでいる。
それに、午後から〝篠永さん〟じゃなく〝花夜乃さん〟って名前呼びになってますが?
これじゃ、初対面なんて言えなくなっちゃうよ。

「……はぁーっ。
ありがたく、いただきますけどね」

口をつけたカップの中身は私好みの、ミルクを入れて少し甘くしたコーヒーだった。
いつの間にこんなの覚えたんだろ。

駒木さんが席に着くと同時に、ふたりの女子社員が彼に寄っていった。

「ちょうどお菓子があるんですけど、一緒に食べませんか?」

「僕は……」

そこまで言って、駒木さんはちらっと私を見た。
目があった気がして、勢いよく手近にあったファイルで顔を隠す。
だいたい、違う島とはいえ、なんで駒木さんと向きあう形になってるのよ!

「じゃあ、いただこうかな」

思いがけない言葉が聞こえて、そろそろと顔を出す。
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