パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
仕事量に関しては私に押しつける量をさっ引いたら、私よりかなり少ないくらいだ。
なのに仕事が回らない彼女は、私の中では謎だった。

「いいわねー、篠永さんは。
駒木さんと給湯室で、イチャイチャする時間があるんだもの」

わざとらしく彼女が上げた声で、部内の視線が集中した。

「……イチャイチャ」

していたんだろうか、あれは。
まあ、抱き締められたりもしたし、あのあたりだけを見ればそうかもしれない。
それよりもセクハラ、下手すれば傷害案件になっていたのを、駒木さんが助けてくれたんですが?
身の潔白を証明すべく、さっきの男性社員を探す。
しかし、目のあった彼からはさっと視線を逸らされた。
さらにもうひとりの当事者、駒木さんに視線を送るが、なぜかわくわくした目で私を見ている。

「えーっと」

正直にさっきの出来事を説明しかけて止まった。
話してしまうとあの男性社員は、ピンチに立たされるのでは?
あれくらいで……というのもあれだが、会社に居づらくなるのも可哀想な気がする。
それに彼は、あれだけ駒木さんから怖い思いをさせられ、もう罰を受けているのだ。

「ちょっと意見の相違で言い争っていったら、駒木さんが止めてくれただけですよ」

曖昧に笑って、それで誤魔化した。
しかし。
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