パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「それだと意味ないだろ。
それに僕、一応派遣って立場だけど、好きにしていいって許可をもらってるんだよね」

なんだか彼は得意げだが、どうやってそんな許可をもらったんだろう?

「そんなわけで僕が花夜乃さんの仕事をするから、花夜乃さんはプレゼンの用意しなよ」

積んであったファイルを、彼が掴む。

「えっ、でも!
それに仕事、できるんですか?」

「ん?
ここの仕事はもう全部、理解したよ。
だから、これくらいできる。
データもこっちに回してねー」

ひらひらと手を振りながら彼が席に戻っていく。

……もう全部理解した?

私だってだいたいの流れを把握するのに一週間はかかったのに?
それも自分が関わる仕事だけで、このあいだみたいにまだやったことのない仕事はわからない。
なのに全部理解したって……本当なんだろうか。

半信半疑で、それでもできた時間をありがたくプレゼンの準備に当てさせてもらう。
駒木さんがやってくれた仕事はあとでチェックして、できていないところをやればいい。
そう、思っていた。

「花夜乃さん、チェックお願いします」

「は……い?」

駒木さんから声をかけられ、手を止める。

……え、早くない?

ちらっと見た時計は、あれから四十分進んでいた。

「わかりました」

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