パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
いいアイディアも思い浮かばないし、手を止めて彼のほうへ身体を向ける。

「んー、持ち出し可能なお仕事」

私に視線を向けることなく、駒木さんはタブレット上でいろいろ操作をしていた。
のぞき込んではいけない気がして、画面から視線を外す。
とはいえ、〝持ち出し可能なお仕事〟と言っていたし、見られてマズいものではないのだろう。

「終わったんなら帰るけど」

「あー、そうですね……」

煮詰まっているし、これ以上やっても無駄かも。
今日は帰って土日を挟んでリフレッシュしたほうが、いいアイディアも出てくるよね、きっと。

「じゃあ、今日は帰ります」

「了解」

私の返事を聞き、駒木さんは立ち上げたばかりのタブレットを閉じた。

帰り支度をして、一緒に会社を出る。

「ところで、一緒に帰ったらいろいろあらぬ疑いをかけられると思うんですが……」

今日一日でいろいろな目を向けられ、あの男性社員はキレていた。
非常にマズいのでは?

「あらぬ疑いって?
だいたい、花夜乃さんが知り合いとか誤魔化すからだろ。
はっきり、結婚を前提にお付き合いをしてるって言ってくれればいいのに」

はぁっと呆れるように駒木さんはため息を落としたが、悪いのは私ですか?
< 132 / 219 >

この作品をシェア

pagetop