パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「いやいやいや。
私が本気になったら結婚するって話で、結婚を前提にお付き合いしているわけでは」

彼が背中を押して促すので、仕方なく歩きだす。

「だから、結婚が前提のお付き合いだよね?」

言われてみれば、そうなのか?
本気になったら結婚なわけだし。
いやでも、本気にならなかったら結婚はないわけで。

「もーそれでいいです」

選択がふたつなだけで大きく違う気もしないし、訂正するのも疲れたので納得しておいた。

通りかかったコーヒーショップの前で、なぜか東本くんが待っていた。

「お迎え、ご苦労」

「お迎えじゃないですよ、仕事を持ってきたんです」

駒木さんの言葉を速攻で否定した東本くんと一緒に歩きだす。
近くの駐車場に車が止めてあり、それに乗せられた。

「今日の夕食も出前でいいかな」

「そうですね……。
私が作るとか、ダメですか?」

家に置いてもらっているのだ、それくらいしないと悪い気がする。

「花夜乃さんが僕に、料理を作ってくれる?」

理解できないのか、駒木さんは眼鏡の向こうでぱちぱちと何度か瞬きをした。

「ほんとに?
前に花夜乃さんが送ってきた手料理の写真、凄く美味しそうで食べたかったんだよね」

思い出しているのか、駒木さんの顔がうっとりとなる。

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