パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「じゃあ、スーパーに寄って……」

「ストーップ」

もう作る気になっていたのに、唐突に東本くんから止められた。

「俺も篠永の手料理は食べたいけど。
駒木さんの家、ろくな調理器具がないぞ?」

「……は?」

そんな家がこの世に……存在するんだろーなー。
だって今までの食事は全部、外食か出前だった。
冷蔵庫の中はたぶん、水と牛乳くらいしか入っていなさそうだ。
よくてあと、つまみになりそうなチーズとかだろう。
開けたことはないが、確信できる。
そんな環境だったら、調理器具は必要ないもんね。

「あるよ!
まな板と包丁が!」

「チーズ切るためだけの、ちっさいのがね」

速攻で駒木さんは否定してきたが、すぐに東本くんに補足される。
これは、勝ち目ないな……。

「それじゃあ、仕方ないですね」

調理器具がないんじゃ、なにも作れない。
これは諦めるしかないよね。

「ううっ。
明日!
明日、買いに行こう!」

「明日は仕事ですが」

「早く終わらせるに決まってるだろ!」

なんか、なにを言っても東本くんに止められる、駒木さんが可哀想になってきた。

「じゃあ明日、私がひとりで買い物……」

「そんな危険なこと、できるわけないだろ!」

言い切らないうちに、仲良く同時に止められた。

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