パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
あれだけ人がいて、同じ部署の誰がいたとか確認していたの?
駒木さんって何者?

「それで……」

ペンを握った駒木さんは、ひとりの名前の上にバツマークをつけた。

「コイツは違う」

それは給湯室で、キレてきた男性社員だった。
アリバイもあったし、確かに違う。

「でもこの中に、昨日の男性社員はいないんですが……」

駒木さんが並べた名前の、男性職員の年齢はだいたい、二十代半ばから三十代前半。
あの男と声の感じからして年齢的にはあっている。
しかし、いくら顔を思い出そうと、昨晩の男と同じ顔はなかった。

「変装、だとしたら?」

「変装……?」

駒木さんに合図され、東本くんがオールバックにしている髪を崩していく。
前髪が下りた状態で雑にセットしたら、さっきまでの彼とはがらりと印象が変わっていた。

「これだけで全然違う」

「……確かに」

じゃあ、この中に本当に、犯人がいるんだろうか……?

「あ、でも、この人とこの人は違います」

書かれた名前のうち、ふたつを指す。

「この人は遠方に泊まりで出張でした。
なので。
あと、この人は私が帰るとき、まだ仕事をしていたので、先回りできないと思います」

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