パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
からかうようにさらに数度押し、駒木さんは私から離れた。
顔を元に戻すと、あきらかにほっとしている東本くんが見えた。

「じゃあ、行ってくるよ。
お昼までに終わらせるから、お昼はどこか食べにいこう。
花夜乃さん、愛してるー」

私に投げキッスをし、駒木さんがリビングを出ていく。

「あ、待ってくださいよ。
じゃあな、篠永!」

そのあとを慌てて東本くんが追っていき、ひとりになった。

「……キス、しないんだ」

そっと自分の唇に触れてみる。
さっき私、駒木さんのキスを待っていた?
そしてしてもらえなくて今、がっかりしている?
確かに、駒木さんとならキスしてもいいかもとは思っていたけれど。

「うーん」

クッションを抱いて、ソファーで丸くなる。
私は駒木さんに恋をしている?
危機的状況になって助けてくれたのが駒木さんだから、これは吊り橋効果にすぎないって言われたらそれまでだ。
でも、駒木さんが一緒にいてくれたら、落ち着ける自分もいる。

それじゃあ、東本くんは?
また会えたのは嬉しかった。
あのときのことを謝ってくれたのも嬉しかった。
今、私の心配をしてくれているのも。
しかし、それだけなのだ。
駒木さんみたいに、一緒にいたいって気持ちはない。

「……私は駒木さんが好き」

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