パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「今日はこれが早く外せるように、願掛けでネックレスを買おうよ」

指先でコインのペンダントトップを揺らし、彼が真剣に私を見下ろす。
この、簡易防犯ブザーのペンダントが外せるのは、あの男が捕まったときだ。

「そうですね」

そうか、そうなれば四六時中防犯グッズを持って、怯えながら暮らさなくていい。
早くその日が来るようにって、嬉しいな。

「どれがいい?
花夜乃さんは可愛いから、ピンクゴールドが似合うと思うんだよね。
……すみません。
これ、見せてもらえますか?」

私よりも駒木さんのほうが楽しそうに選んでいて、ちょっとおかしかった。

いろいろ候補はあがったが、小ぶりなダイヤが三粒、縦に繋がったトップがついているネックレスにした。
これなら仕事でも使えそうだ。

「私が買うって言ったのに」

「ダメだよ、これは僕が早く犯人を捕まえるって、誓いでもあるんだからね」

ネックレスを包んでもらい、店を出る。
駒木さんはプレゼント用に、しっかり目のラッピングをしてもらっていた。

「犯人が捕まったら、改めてプレゼントするよ」

また手を繋ぎ、今度こそ雑貨店へ向かう。

「早く捕まえてくださいね、犯人」

「わかってる」

誓うように駒木さんの手に、ぎゅっと力が入った。

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