パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
改めて空いた手を差し出され、戸惑った。
しかし、手を繋ぎたいと言ったのは私なのだ。

「……はい」

そろりとその手に、自分の手をのせる。
途端にぎゅっと握られた。

「花夜乃さんが僕と手を繋ぎたいなんて、どういう風の吹き回し?」

「それは、その」

そんなの、私が知りたい。
しかし一度、駒木さんと手を繋いだら、そのあと繋がないで歩くのになんとなく違和感を抱いたのだ。

「もしかして僕に、本気になった、とか?」

いきなり目の前に駒木さんの顔が現れ、悪戯っぽく私の顔をのぞき込む。

「そ、そんなこと、あるわけないじゃないですか」

赤くなっているであろう顔を見られたくなくて、勢いよく背けた。

「えー、僕に本気になってくれていいのに」

彼が足を踏み出すので、私も歩きだす。
前なら「頑張ってください」ってはぐらかせた。
でも、今はそれができなかった。

荷物を車に置いたあと、また徒歩で街に出た。

「どこで服を買おかな」

駒木さんは悩んでいるが、早めに指定しないと高級店に連れていかれかねない。

「あ、あそこのファッションビルはどうですか」

「花夜乃さんがいいなら」

軽く手を引っ張ったら、案外素直に着いてきてくれてよかった。

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