パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「凄くわかりやすくてよかったよ。
ありがとう」

にっこりと課長が笑い、ほっと肩の力を抜いた。

「いえ。
西谷さんにも手伝ってもらったので。
彼のおかげです」

手柄の横取りはよくないので、事実を告げたものの。

「いやー、さすが篠永さんだな。
他の人に頼むとこうはいかないよ」

「いえ、だから西谷さんが手伝って……」

「次も篠永さんに頼むから、よろしく頼むね」

課長は私の話をまったく聞かず、勝手に話を終えてしまった。
心の中でため息をつき、席に戻る。
昨日の彼に謝罪をしたいが、今日は外回りから直帰になっていた。

「……はぁっ」

ため息をつきつつ、休憩コーナーの自販機でミルクティを買う。
市販の甘いミルクティはあまり好きではないが、今は甘ったるいものを取って和みたい気分だ。

近くのソファーに座り、ペットボトルを開ける。

「なんでこう……」

思いどおりにいかないのだろう。
私はただ、普通に仕事をして、普通に私を評価してほしいだけなのに。

「あら、篠永さん、きゅうけぃー?」

ちょうど通りかかったいつもの彼女が、イヤラシく語尾を伸ばす。

「いいわねぇ、私なんかお茶飲む暇もないくらい、忙しいのに」

< 15 / 219 >

この作品をシェア

pagetop