パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「でも、似合わないのは似合わないって言ってくれないと、困るんですよ」

「それは……そう、だね」

しゅん、と彼の肩が落ちる。
それを見ていると悪い気になってきた。

「ちょっと休憩しませんか」

ちょうどコーヒーショップの前に差しかかり、駒木さんを誘ってみる。

「……いいよ」

ちょっと笑ってはくれたが、彼はまだ落ち込んでいるようだった。

駒木さんはアイスコーヒー、私はアイスカフェラテを買って空いている席に座る。
彼は俯いてストローを咥え、ちびちびとコーヒーを飲んでいた。

「えっと……」

き、気まずい。
駒木さんってこんな、面倒くさい人だったんだ……。

「……役立たずの僕は、お払い箱……だよね」

上目遣いで彼が、私をうかがう。
それはまるで捨てられるのを恐れている子供のようで、どうしていいのか困る。

「やだな、これくらいでお払い箱とかあるわけないじゃないですか」

「……ほんとに?」

眼鏡の奥から私を見つめる瞳は、涙で潤んでいた。

「はい。
というかなんで、そんなに落ち込んでるんですか?
これくらいで落ち込むなんて、それこそ面倒くさくて嫌いになっちゃいますよ?」

「……それは困る」

わざと茶化してみせたら、ようやく彼は笑ってくれた。

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