パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「こういう言い方はなんだけど、僕は今まで失敗や間違いをしたことがない。
それで親にすら、叱られたことがなかった」

機嫌は上向いたのか、コーヒーを飲みながら彼が話しだす。

「だから花夜乃さんに叱られて、花夜乃さんから嫌われるのが怖かったんだ」

駒木さんはどこまでも真剣だが、どこからツッコんだらいい?

「えーっと。
駒木さんがミスターパーフェクトとか呼ばれてて、仕事も完璧なのは知ってますけど」

一度言葉を切り、真っ直ぐに彼の目を見る。

「でも、私の前ではへらへら笑ってて、ドジっ子要素もあるし。
だいたい、初対面でいきなり求婚してくるのも、婚約指環の代わりに手錠をかけようとしてくるのもありえなさすぎて、私の中では変な人枠なので気にしないでください」

「変な人枠……」

さすがにそれは嫌だったのか、駒木さんは複雑そうだ。

「だから、
『僕の目から見たら全部似合ってたから、決められない。全部買おう』
くらい言ってくれたら、私も駒木さんだから仕方ないなーって諦められるんです。
わかりましたか?」

「わ、わかったよ」

人差し指を鼻先に突きつけたら、降参だと彼が手を上げる。
それで、気分がよくなっていた。

気を取り直し、もう一度お店を回る。

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